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― 院長ブログ ―

2022-11-08


CATEGORY  |  未分類

骨粗しょう症と歯科治療

南海和歌山市駅から車で5分のマルヤマ歯科です。

今回のお話しは、歯医者さんに敬遠されがちな抜歯難民(骨粗鬆症患者)が治療で使われてるお薬について話していきます。 長文ですが読んで頂ければ幸いです。

骨粗しょう症製剤(以下BP製剤)は骨粗しょう症やガンの骨転移などに対して非常に有効な薬で多くの方々に使用されています。しかし、BP製剤使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生することがあることが分かってきました。

顎骨壊死になると、歯肉がはれたり、痛みがでたり、うみがでたり、顎骨の露出がおこります。

日本における発生頻度はBP製剤経口薬において0.01~0.02パーセント、注射薬では1~2パーセントと報告されています。

そのため、歯科医院においてはBP製剤の治療をうけている患者さんの抜歯などの処置をさける場合があります。

2019年5月  84歳  女性

主訴は左下6番が腫れて痛い。ボンビバ錠服用中。3件の歯科医院に行ったが「抜けない」と言われ、かかりつけ医より紹介され来院。

 

 

 

 

 

 

 

2019年6月

左下6番保存治療を試みましたが、経過不良により抜歯しました。

感染症対策を十分したつもりですが顎骨壊死がおこりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年8月

総合病院の歯科口腔外科を紹介

2022年5月

骨面に歯肉が覆われてきて治癒してきました。

 

 

 

 

 

 

 

このようにBP製剤治療を受けている患者さんは頻度が少ないですが顎骨壊死が起こることあります。私も気を付けたいと思います。

ある骨粗しょう症と脊椎疾患を専門として治療している整形外科医より次のような手紙をいただきました。(一部編集しています。)

医療連携のお願い

骨粗しょう症は、人口の1/10が罹患していると言われ、現在後期高齢者の医療費の中で骨折治療の金額だけが群を抜いて増加してきております。

歯科の先生方と骨粗しょう症については、「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死」の問題が大きく横たわっております。日本 における顎骨壊死検討委員会のポジションペーパーは2016年が最新となっていますが、現在改定中で、本年の日本骨粗しょう症学会でその内容の一部を教えていただきました。その要点としましては、

1 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(以下ALONJ)のステージ0では、本当にALONJか疑わしい項目があり、それで症例数が増えている可能性がある。そのためステージ0の表現は残すものの、その他のステージとは別に考える。ちなみに米国では、ビスフォスフォネートによる顎骨壊死の罹患率は、0,02%ー0,05%だが、日本では10倍となっています。

2 リスク因子としては、炎症を重視する。抜歯を伴わない薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)が増えており、歯周病や根尖病変などの炎症病変が原因と思われ、骨髄炎の治療のために抜歯することが顎骨壊死の予防になると考えられる。むしろ、適切な時期に抜歯を行わないことで、骨髄炎が悪化すると思われる。

3 骨吸収抑制薬の休薬が顎骨壊死の予防になるかというと、統計学的に休薬の効果はないという日本の大規模研究がある。

4 抜歯1時間前に抗菌薬を投与し、その後は、長くても48時間以内までとする(多くは術前の1回のみとのこと)。その際にできる限り不良肉芽はそうはする。

とのことでした。

つまり、骨吸収抑制薬(ビスフォスフォネート、抗RANKL剤、抗スクレロスチン抗体)の休薬には、意味はなく、治療が遅れることで、かえって顎骨壊死が起こる可能性が高まるとなっております。休薬と抜歯の待機には、意味はないことは確かなようです。

この手紙に書かれていることが最新の情報だと思います。細心の注意を払い治療をしていきたいと思います。

 

 

 

 

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